【おすすめ本】木のいのち 木のこころ 新潮文庫 レビュー

久しぶりのブログ更新。。。

年末で少しバタバタしているので、しばらくスローペースで更新していく予定です。

最近はスマホやPCの普及で興味ある情報が容易に引き出せるようになり、なかなか読書の時間が持てない人も多いと思います。実は私もデスクワークが増え、読書よりネットサーフィン。部屋は積読状態になっています。(苦笑)

今回ご紹介するのは、以前に紹介したベストセラー「 木に学べ 」に続く第二弾で宮大工・西岡常一氏と、西岡氏に三度も断られながら唯一の内弟子となった小川三夫氏等から作家・塩野米松氏によって聞き書きされた新潮文庫の「木のいのち 木のこころ」です。

これがなんとネットサーフィンの手も止まる面白さ!

読んでよかった、出会えてよかった。。。と感じています。

車の世界も一昔前は、職人さんが作る部品というものが重宝されてきました。最近ではそれらを使うメリットもなくなりつつあり、アメリカの自動車会社は同じような部品を大量に安く仕入れる方向に舵をきっています。

職人さんが減少していくことは時代の流れで仕方のないことですが、この本を読み終えると複雑な気持ちになってしまいました。

宮大工の故・西岡常一氏は、

「日ごろは個性ということをやかましゅう言うくせに、一番大事な教育ということになりましたら、このことを忘れてしまいますのや。教育といいましたら、本当は個性を伸ばしてやることと違いますか。それを今は網の目を通してみんな同じものにしようとしてますやろ。そりゃ、育てるほうは、そのほうが楽ですわな」

と述べています。

まったく西岡氏のおっしゃる通り。。。

人間ラクな方に流されやすいですからね。

過去に実施された「ゆとり教育」というものは、「詰め込み教育」を改め「思考力」を鍛える学習方法でした。ただ学力低下などが指摘され、現在では「脱ゆとり教育」が重視されたものになっています。

なかなか難しいものですね。

とは言え、やってみなけらば分からなかったことも多く、空白期間ができてしまうものの長い目でみれば国として正しい道のりだったと思います。

すでに日本は少子化に突入しています。

これから教師が生徒に向けられる時間というものも増えてくるのかもしれません。もちろん今までの方針、画一的な面を少し修正する必要があるでしょう。定められたカリキュラムを終えることが責務となっている方針を改め、個性を伸ばす、わからないままにしない・させない教育というものにしていければ面白くなりそうですよね。

そういう意味でも、自分にあった講師の授業を何度も繰り返し視聴できるネット教育というものが、大きなうねりになっていくのだろうなぁと想像しています。

職人さんの厳しい世界に触れながら、心温かくなる一冊です。

様々な分野の方に読んでいただきたいですね。

【本のタイトル】木のいのち 木のこころ
【著者】西岡常一、小川三夫、塩野米松
【出版社】新潮文庫
【Amazon】木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)

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