【おすすめ本】逆説の日本史 古代黎明期 井沢 元彦

 

今回ご紹介するのは、

シリーズにもなっている井沢元彦氏の「逆説の日本史 古代黎明編」です。

 

そう言えば、

本が売れなくなったことも関係していると思いますが、最近の歴史本は、読みやすさを追求しているというか、努力が感じられますよね。

 

「逆説の日本史」もその一つで、

1.カナがふられている

2.文体が優しくわかりやすい

3.行間スペースを確保(目が疲れない)

 

読者としては、これだけでもありがたいですね。

それと本著は、様々な角度から考察してくれていて、楽しく読み進めることができました。。。




「宮内庁が天皇陵の学術調査を拒み続けるのはなぜか?」

「天皇の祖先は朝鮮から来た?」

などなど、読み出したら時間を忘れて引き込まれていく内容となっています。

 

 

第三章の「卑弥呼編」の仮説、

 

「霊力の衰えで卑弥呼は殺害された」

 

も興味深く読むことができました。

この説は、松本清張氏が最初に唱えたそうで、著者の井沢氏も基本的に賛成しています。呪力の衰えに加えて、歴史の謎を解明するために古天文学も取り入れているのが新鮮でした。

 

古天文学は、何千年何万年昔に起こったことでも、きちんと計算ができるので、様々な仮説を立てることができるそうです。

 

ただ「呪力(霊能力)の衰え」による殺害の指摘は、歴史学会では支持されていないので、当然、小中学校の歴史授業では学べないものとなっています。

 

それでも

「歴史学会で支持されないから」

という理由だけで、この仮説が否定され、学べないというのも残念ですね。単純に仮説は仮説として教えるわけにはいかないのでしょうかね。

 

古代史は、資料も少なくほとんどが「仮説」のようですし・・・。(笑)

 

 

呪力(霊能力)というと、今では不思議な話にも聞こえてしまいますが、

日本の農業を振り返ってみると、水不足になれば、地域を代表する祈祷師がお祈りをして雨を降らせていましたよね。

 

「雨が降るまでお祈り・・・」

の方が正しいのかな。(^_^;)

 

これらも呪術的・宗教的な儀式であって、人々の生活に呪力というものが深く関係していたことがわかっています。井沢氏が著書の中で述べている

「呪術的側面の無視ないし軽視」

をしてはいけないという説明もなんとなく理解できるような気がします。

 

 

さて少し話を戻しまして・・・

 

有力な国であったはずの邪馬台国。

卑弥呼の死亡した正始九年(二四八年)は、世の中が真っ暗になる皆既日食が観測された年でもあります。

 

部分食も含めると見た事がある人もいると思いますが、皆既日食は太陽が月に隠れてしまう現象で、古代から凶事として恐れられていたものです。

卑弥呼が死亡した年に、”たまたま” 皆既日食が起こったとも言われていますし、卑弥呼の死に何かしら関連性があったとも考えられています。

 

負けてはいけない、負けるはずのない戦に負けてしまったら・・・ちょうどその時、凶事でもある皆既日食が起きていたら・・・はたして吉凶を占う卑弥呼は、どうなるのか・・・。

 

想像が膨らみますね。

この続きは、本著にて。(^O^)

 

 

また本文中で何度も指摘している

「日本の歴史学には決定的な欠陥がある」

という内容も、様々な分野でよく聞かれる話ですね。

 

 

決定的な欠陥というのは

1.従来の歴史学会の権威主義

2.史料至上主義

3.呪術観の無視

の三つ。これらが日本の文化に染みついた悪弊になっていると述べています。

 

上で述べている1番の権威主義は、歴史学だけでなく医療、法律、大学などの世界でもその傾向があると聞きますので理解できますね。ちなみに司馬遼太郎氏も既成の歴史学会を批判していたそうです。

 

どの業界でも自身の考えを公の場で述べるというのは、たいへん勇気のいることですが、精神的にもタフさが必要です。そうでなければ、権威主義とわかっている学会への批判はできないですからね。

 

とは言っても、ここで言う ” 批判 ” は、相手に改善してもらいたいことを述べているのであって、誹謗中傷の類とは異なるとも井沢氏は述べています。

 

 

最後になりますが、

一つの学問を専門に探求している人というのは、基本的には自身の研究する分野のみに精通している人が多いイメージですが、日本の歴史を紐解くには、歴史や宗教、神道など、様々な分野の素養に長けた人の見解も必要かなぁと感じました。

 

仮説は仮説ですので、それらを鵜呑みにすることはできないですが、いまの古代の歴史はほとんど仮説なわけですから、いろいろな説があっても良いはずです。

 

まぁ、収拾がつかなくなってしまいますので、難しいのも理解できますけどね・・・。

(;^_^A

 

 

学校では学べない歴史に触れることができ、非常に興味深い内容でした。

ぜひこの夏休み、お手にとって想像を膨らませてみてはいかがでしょうか。

 

「逆説の日本史 古代黎明編」は、スパイスの効いた面白さがあり、歴史が嫌いだった人も、「歴史を学んでみよう!」とスイッチが入る(かも)一冊になっています。

 

【本のタイトル】逆説の日本史 古代黎明編

【著者】井沢元彦

【出版社】小学館文庫

【Amazon】逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎

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