「ん!? これが京都、奈良に関連した本なの?」
故本田宗一郎さんは、静岡県生まれですし、京都や奈良にHondaの研究施設や生産拠点(工場)があるわけでもなく、ほとんど関係ありません。。。 m(__)m
「それじゃ、なぜ京都奈良サイトで紹介するの?」
実は、創立15周年記念式典を「京都」で開催したから・・・です。(笑)
しかもその手法が桁外れで、
当時の全従業員約8000人を京都に集合させて、好きなように食べて、飲んで、遊んで、最後に領収書を切っておけばよいという予算1億円の大イベントを催したのです。
このイベントは、社内報にてアイデアを募り決定されたもので、提案に対して賞金も出していたというから、おもしろいですね。
応募総数は452件、最優秀賞に選ばれた「京都で1億円!企画」のアイデアを考えたグループには、165万円の賞金が出たというから、これまた驚きです。
15周年企画が開催された1963年は、大卒初任給が約2万8000円。賞金の額も大きいことがわかりますね。賞金の一部は、浜松工場近くの交差点に設置する信号機の費用として寄付されたそうです。
「京都奈良.jp」サイトで紹介するために無理やり関連付けていると言われてしまいそうですが、Hondaという企業を一代で築いた創業者の思考や姿勢に触れることで気持ちも明るく前向きになれますので、ぜひ皆さんにも読んでもらいたいなぁ・・・
と無理やり関連付けした次第です。m(。≧Д≦。)m
著者は、経済、伝記など多くの小説を著している故城山三郎さん。
1冊読むと、ハマってファンになる方も多い城山さんの作品は、特にビジネスマンに人気が高いようです。
「 粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯 (文春文庫) 」
「 もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界 (文春文庫) 」
などもオススメですが、どれを読んでも楽しめると思います。
さて「本田宗一郎の100時間」ですが、
創業したばかりの頃は、秘書が何度も変わり従業員もどんどん辞めるという、まるで世間を騒がせたあの「このハゲー」政治家にも似ていますね。
ただ本田さんの場合は感情的な怒りではなく、
「仕事がいいかげん」
「筋が通っていない」
のような場合がほとんどでした。怒鳴る、灰皿を投げつける、スパナでぶたれるなどなど、その対応、厳しさについていけない人が多くいたのも容易に想像ができます。スパナというのがこれまたスゴいですね。。。いまでは完全にNGな話ばかりですが。(笑)
ただ怒鳴った次の日の本田さんは、誰がみてもわかるほど元気がなくショボン(´・ω・`)としていたそうです。
喜ぶときも怒るときも、体当たりで一生懸命な本田宗一郎さん。
親しみも込めて ” おやじ ”と呼ばれていたのもなんとなくわかる気がします。
本田宗一郎さんが築いたHondaに欠かせない人物「 藤沢武夫 」さんも登場します。東京の知人から紹介され、販売や経理にきわめて明るい方なのですが、二人のこの運命的な出会いがあったからこそ、世界的な大企業に育ったとも伝えられています。
金の苦労をすべて引き受け、自身を技術に専念させてくれると直感し、一度会っただけで、藤沢さんを常務として迎えいれました。
その後、本田さんは実印や会社印など藤沢さんに預け、お金のことはすべて任せます。
本田 : すばらしいものをつくってやる。おまえ売ってみろ
藤沢 : みごとに売ってやる。つくれるならつくってみろ
この張り合いもお互いの良い刺激となり、業績は伸びていきます。
本田さんが当時の売れ筋「カブ号」を半年で月産7000台(販売開始直後)だったものを、月産1万台という目標を立てたことがあります。おやじは、これを見事に達成。
ところが売る段になって、藤沢さんの手でも1万台を売り捌くことができず・・・、
本田 : なんだ、一万台売れないのか
と一言。
藤沢さんは無言で横を向いたそうですが、この時の口惜しそうな表情を忘れられないと同席していた方が述べています。
本田さんのような人が持つこだわり、気遣い、指導は、常人が想像することのできないレベルでもあり、それらを単純に ” 厳しい ” の言葉一つにまとめてしまって良いのか考えさせられました。
どこを見渡しても本田さんのような ” おやじ ” がいなくなってしまうのも淋しい気がしますが、これもまた時代の流れですかね。
これからの経営者は、整備された多くのルールに注意を払う必要がありますが、ぜひ一歩を踏み出して、挑戦し続けてほしいと思います。
最後になりますが、
藤沢武夫さんが本田さんに引退したい旨を伝える場面があります。
藤沢 : 今年の創立記念日にはやめたい
本田 : 二人いっしょだよ、おれもだよ。幸せだったな
藤沢 : 本当に幸せでしたよ、心からお礼を言います
本田 : おれも礼を言うよ、良い人生だったな
世の中無数にある出会いの中で、
この二人が交わした言葉のように終われる人生は素晴らしいですね。鳥肌が立ってしまいました。。。
古い本なので、なかなか手に入りにくいものですが、
こんな ” おやじ ” に会ってみたい。。。
この人の手のひらを見てみたい。。。
この本に出会えてよかった。。。
きっと
たのしくて一気に読み終えてしまうと思います。
入社したばかりの社会人、いまの組織に不満のある方、これからどう生きていきたいのか悩まれている方、何かに挑戦していきたい方など多くの方におすすめできる一冊です!
【本のタイトル】本田宗一郎との100時間
【著者】城山三郎
【出版社】講談社文庫
【Amazon】 本田宗一郎との100時間 (講談社文庫)
藤沢武夫さんの書かれた本「 経営に終わりはない (文春文庫) 」もオススメです。
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