祥伝社 黄金文庫から出版されている「東寺の謎―巨大伽藍に秘められた空海の意図」は、東寺の歴史をわかりやすく解説してくれています。
歴史本は難しい言葉や漢字の文章が多くなりがちなので、敬遠してしまう人も多いと思いますが、「東寺の謎」は、たのしく読め進めることができますのでオススメです。
平安遷都から二年目に東寺と西寺の造営(ぞうえい=建築)が始まります。昔はなんと西寺も東寺と同じ規模の建造物(=伽藍)があったというから驚きですね。
左右対称に並ぶ東寺と西寺の姿も見てみたかったですね。
西寺のあった場所というのは、いまは石碑のみとなっています。西寺跡は東寺から歩いて10分くらいの公園内にありますので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!
本書「東寺の謎」には、
・空海はなぜ僧の道を選んだか
・空海の知られざる一面
・生死の確率25%に賭けた空海
・仏像内部のX線検査
その他興味深い内容がたくさん!
1000年の時を超え、弘法大師「空海」の魅力と共に東寺の謎に迫る本書は、東寺の住職によって執筆されています。著者の三浦俊良(しゅんりょう)氏は、若い頃に高野山にて修行をし、中国に渡って布教活動に従事した方。人間味あふれる温かくわかりやすい言葉で綴られています。
”人が苦しみと正面から対峙(たいじ)しようとするとき、わたしは仏像の前に静かにたたずむことを薦めたい。その闇を照らす一隅(いちぐう)の光を、仏教はもっているからである。
千年の闇も、たった一本のマッチの光で破られるように、人が人として生きていく意味が一瞬にあきらかとなるだろう。ながい、ながい、無明(むみょう)の心に光があたる瞬間である。
東寺は、自分とはなにかを知る手がかりを得ることのできる場所である。
三浦俊良”
自然の中にあるすべてのものに神が宿るとも考えられています。お寺が近くにないときなどは、古木や大木の前にたたずむだけでも良いのかもしれませんね。
著者・三浦俊良さんは、仏教に無力と堕落を指摘しはじめている方々の声にもお応えしたいと思い、つつみ隠すこと、都合の悪いことにも閉口せず、ありのままの東寺を伝えてくれています。
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