【おすすめ本】木に学べ 法隆寺・薬師寺の美 西岡常一

法隆寺の鬼と呼ばれた西岡常一(つねかず)さんの著書「木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)」。分野を問わず、多くの方に読まれているベストセラーです。

著者の西岡さんは、宮大工の祖父に師事して「木」の心、宮大工としての心構えを学びました。今と昔の道具の違いを理解し、「木」を殺さず、クセや性質を生かして適材適所に配置。そうすることが伝統を守ることにつながっていくと教えてくれています。

読み進めていくと西岡さんの伝統を守るこだわりや優しさが感じられ、人としての魅力にあふれた人柄にぐいぐい引きこまれていきます。

昔の宮大工は民家を建ててはいけないと教えられたそうです。もし知り合いやらお客さんに頼まれて民家を建ててしまったなら、宮大工から外されるという厳しいルールがありました。ですから宮大工さん達は、お寺の修繕などが無いときは、田畑に従事して生活をしていました。

なぜ民家を建てたらいけないのか?

普通の大工さんは坪単価いくらか計算をして、どれだけ儲けられるかが仕事。堂や塔を建てる宮大工さんは儲けを考えず、塔を建てることに仕えたてまつるのです。ですから心に欲があってはいけないという教えでもあります。

最近では見えない修繕箇所に鉄骨を使うこともあるようです。見た目はわからないですが、飛鳥時代から守られてきた伝統を日本人自ら壊す必要はないように思います。

会社の一次面接で、良い人を装って入社をしても時間経過とともに素性がわかってくるものです。歴史ある建造物も同じような気がします。初めて訪れた法隆寺に感動した人が、知れば知るほど奥の深い日本の歴史を感じてもらえるのであれば、なんとしてでも伝統を守る気概も必要かと考えさせられました。

技術継承、予算、時間、道具、資材など様々な問題が壁となり、伝統を守ることの難しさが著書から伝わってきます。私のような部外者が、簡単に意見できるものではないでしょう。それでも観光立国を目指す国として、何度もリピートしてもらえるような味わい深い国造りをしてほしいな・・・と思わずにはいられません。

西岡常一さんは1995年4月に永眠。もうお会いすることもお話を聞くこともできないですが、「木に学べ」の文体は、西岡さんがすぐそこで話かけてくれているような親しみ、空気を感じることができます。

西岡さんが「なぜ法隆寺の鬼」と呼ばれたのか?

ぜひ本を手にとってみてください。

飛鳥時代の人たちが、建築物にどのように取り組み、引き継がれてきた意味あるひとつひとつの部材を眺め、改めて法隆寺に再訪したくなる一冊です。おすすめです!!!

著者 西岡常一

著書名 木に学べ 法隆寺・薬師寺の美

出版社 小学館文庫

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