奈良県奈良市菅原町、蓮の名所としても知られる法相宗の寺院・喜光寺を訪れてみました。
喜光寺の「本堂(重要文化財)」は、東大寺・大仏殿を建立する前のひな型として建てられたことから 「試みの大仏殿」とも呼ばれています。
東大寺・大仏殿と喜光寺の建立には、民衆のために橋や道を整備する土木・社会事業に貢献し、国家試験を受けずに僧となった私度僧「行基」が関わっています。
「行基」と言えば、近鉄奈良駅の噴水広場に東大寺大仏殿に向かって立つ「行基像」があります。現在のものは3代目。
行基像の1代目、2代目は、奈良絵文様を特色とする赤膚焼(あかはだやき)で作られていましたが、傷みやすいこともあり、3代目はブロンズにて作られています。
喜光寺 南大門
手前が南大門、奥が本堂(重要文化財)となります。
721年に私度僧だった行基が創建したと伝わる喜光寺。
行基は、人望があり民より崇拝されていたのですが、国から認められていない私度僧であったことから、朝廷より民衆を惑わす僧として弾圧を受けていました。
同じころ、国内は食料不足で伝染病が大流行、多くの人が病に倒れました。みんなが幸せになれるよう聖武天皇が大仏造立を決めますが、人手が足りず困っていたところに民の信頼厚い行基に白羽の矢が立ちます。
弾圧を受けていた行基ですが、心穏やかな彼は、大仏造立を引き受けました。そして東大寺大仏殿を建立する際に1/10サイズのひな形として建てたのが「喜光寺」との伝承があります。
喜光寺・南大門の仁王像「阿形(あぎょう)」は、彫刻家の中村晋也氏の作品。
喜光寺・南大門の仁王像「吽形(うんぎょう」
喜光寺 本堂
喜光寺・本堂は、東大寺・大仏殿を建立する前の試作という伝承があり、「試みの大仏殿」とも呼ばれています。
喜光寺 本堂内の仏像
喜光寺・本堂内の仏像。
本堂には、本尊「阿弥陀如来坐像」はじめ「観世音」「勢至菩薩」が祀られています。仏像は、撮影禁止のお寺さんが多いのですが、喜光寺は撮影可能です。(2017年5月現在)
喜光寺 蓮の花
喜光寺境内にある石仏群と蓮の鉢。6月になると蓮の花が満開になるとのことでした。
喜光寺 會津八一歌碑
会津八一の歌碑。新潟県の地方紙「新潟日報」の題字は会津氏が揮毫したものだそうです。
喜光寺 弁天堂
喜光寺本堂の裏にある「弁天堂」。毎年7月下旬に秘仏の「宇賀神王」が公開されます。
喜光寺 行基堂
「行基菩薩坐像」の安置された建物。
「行基菩薩坐像」。
唐招提寺所蔵の坐像を複製したものだそうです。
喜光寺の本堂裏にはツツジの花が満開でした。
喜光寺 お写経道場
お写経道場。
本坊には60畳ほどの「お写経道場」があり、拝観時間であればいつでも「いろは写経」を書写することができます。
交通アクセスは決して良い所ではありませんが、喜光寺を訪れてから東大寺・大仏殿に参拝するという流れもおすすめです。
あの圧倒的な東大寺大仏殿にかかわった行基の没した地でもある喜光寺にぜひ足をお運びください。
【訪問地】喜光寺
【所在地】奈良県奈良市菅原町508
【電話】0742-45-4630
【公式URL】 http://www.kikouji.com/
【拝観時間】9:00~16:30 ※蓮の開花時期(7月の土日祝)7:00~16:30
【拝観料】大人500円 小中学生300円
【駐車場】無料駐車場あり
【アクセス】車ナビに「喜光寺」または「0742-45-4630」とご入力ください。
近鉄「尼ヶ辻駅」より徒歩約10分