「国宝」と「重要文化財」の違い。 国宝の多い都道府県は?

国宝と重要文化財の違い

京都、奈良のお寺を訪れると「国宝」「重要文化財重文)」の言葉をよく目にしますよね。

「国宝」と「重要文化財」というのは、
カンタンに言うと選ばれた価値の高い ” お宝 ” です。

「国宝」や「重要文化財」と呼ばれるものは、すべて文化財保護法に基づいて指定、選定、登録された貴重な財産。

歴史上、芸術上、学術上、観賞上などの観点から価値の高い文化財とされ、国家、そして私たち国民の共有財産となります。

「国宝」と「重要文化財」の違い

国内のお宝を重要文化財に指定するのは、国や地方自治体(町、市、県)が行います。

どの自治体で指定されたものも貴重な文化財ではありますが、その中でも「国」が指定した重要文化財のなかから特に貴重であると認められたものが「国宝」と呼ばれます。

文部科学大臣が国の指定を受けた重要文化財の中から

「世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」

を「国宝」に指定できることになっています。もちろん「国宝」に指定されるには、あらゆる視点からみて極めて優れていなければなりません。

さらに、日本を代表する文化遺産の中から普遍的価値を有するものをユネスコに推薦し,世界文化遺産への登録を推進しています。

国宝と重要文化財の違い

国宝「国指定」の重要文化財のなかから特に貴重であると
認められたものが「国宝」。
重要文化財歴史上、芸術上、学術上、観賞上などの観点から価値の
高い文化財として町、市、県、国が指定したもの。

国宝の数が No.01の都道府県は?

国宝の数がナンバーワンの都道府県は、東京都の281件です。東京に国宝が多いのは、美術館や博物館の数が多いことが要因となっています。

京都は234件で2位。
奈良は203件で3位となっています。

都道府県別「国宝」保有数ランキング
1位 東京都   281件
2位 京都府   234件
3位 奈良県   203件
4位 大阪府  62件
5位 滋賀県  56件
6位 和歌山県 36件
7位 兵庫県  21件
8位 神奈川県 19件
8位 広島県   19件
10位 栃木県  17件

国宝が最も多いお寺は、奈良県にある法隆寺の38件で、美術工芸品20件、建造物が18件となっています。

文化財の種類

文化財は6つのカテゴリーに分類されています。京都、奈良の文化財の一部を取り上げてみました。

有形文化財建造物や美術工芸品法隆寺金堂・五重塔
正倉院正倉
東大寺二月堂
阿修羅像
東寺の古文書など
無形文化財音楽や演劇、工芸技術人間国宝
など
民俗文化財資料性が高く
保存措置の必要なもの

衣食住、生業、信仰
祇園祭山鉾
丹波焼コレクション
元興寺庶民信仰資料
吉野林業用具など
記念物史跡・名勝・天然記念物平城宮跡
キトラ古墳
石舞台古墳
石のカラト古墳
平等院庭園など
文化的景観人間と自然の相互作用に
よって生み出された景観
京都岡崎の景観
宇治の景観
宮津天橋立の景観
奥飛鳥の景観など
伝統的建造物群周囲の環境と一体をなした
伝統的な建造物群
重要伝統的建造物群保存地区
産寧坂
祇園新橋
美山町北
伊根町
橿原市今井町
五條市五条新町など

国宝、重要文化財に指定されるメリット、デメリット

国宝、重要文化財というと美術館などで保護、管理されているような印象がありますが、所有者は、個人、会社なども含まれ、お寺の国宝、重要文化財の建造物、仏像などは各お寺によって大切に保存管理されています。

国宝、重文に指定されるメリット

・文化財の修繕や保存に対する補助金がでる
・歴史を感じる日本の大切な文化財として保存されていく

個人・法人問わず文化財所有者は、文化財の修繕や保存に対する補助金が出ますので、負担が軽くなるというメリットがあります。

国宝や重要文化財に指定された美術品や建造物は、保存に影響がでない範囲内で、できるかぎり公開することが求められています。

国宝、重文に指定されるデメリット

・文化財の修理には申請が必要となる
・所有者の判断で登録を抹消することができない

・国の指導のもと、修理を進めていく
・美術品などの譲渡には制限があり、建造物も売買は可能だが、文化庁への届け出が必要となる

・適切な管理と可能な限りの公開が義務付けられている

歴史的背景や希少性という観点から、文化財の修理には申請が必要なことと、国の指導が入りますので、勝手に修理を進めることはできません。

また美術品を譲渡する場合は制限がかかり、建造物なども売買は可能ですが、文化庁への届け出が必要になります。

自宅が有形文化財の打診があった場合

所有建造物が有形文化財としての価値があると認められた場合は、文化庁より「文化財指定」の打診の連絡が入ります。

個人宅が有形文化財として指定登録された事例はたくさんありますが、指定を断ることも可能で、実際に正当な理由により文化庁も断念する例も多数あるそうです。

正当な理由というのは、
例えばですが、

「これからも住み続ける予定で、改修工事の制限によって生活が不自由になるため」

などが断る理由となります。

たしかに増築やリフォームを考えていて、それらが出来ないとなるとお断りしないといけなくなりそうですよね。

ちなみに築年数の浅い一般的な家屋が有形文化財の打診を受けることは、ほとんどありませんので、ご安心ください。

日本の国宝は素晴らしいものばかり

日本の国宝はすばらしいものばかり。

保存状態もよく、美術品や建造物もたくさん残っていることから、世界的にも評価が高いのです。

ぜひ京都、奈良にお越しの際は、国宝や重要文化財にも注目してみてください。

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