奈良 世界遺産 / 法隆寺・五重塔の屋根は6枚?

奈良県生駒郡斑鳩町にある世界最古の木造建築・法隆寺

7世紀に創建された法隆寺は、聖徳太子ゆかりの寺院で、法起寺と共に1993年「法隆寺地域の仏教建造物」としてユネスコの世界遺産に登録されました。

飛鳥・奈良時代の仏像や工芸品、建造物など多くの文化財を有しています。

が、最近の歴史教科書には「聖徳太子」という名前が没後に贈られた名前ということで、「厩戸皇子(うまやどのみこ、うまやどのおうじ)」という表記が主流になっているんですよね。

「聖徳太子」で学んだ世代としては、どこかしっくりこないですが、実は教科書に載っていた聖徳太子の肖像も使われなくなってしまったそうです。

というのもあの肖像が描かれたのは聖徳太子の没後100年以上も経った8世紀半ばと考えられ、”太子を描いた”という確証がないそうなんです。

聖徳太子(厩戸皇子)は、蘇我氏(朝鮮半島からの渡来人との説もある)と強い血縁関係があるということも、いろいろな解釈、説が生まれていますが、「聖徳太子は存在しなかった」という説も有力になってきていて、「日本書紀にある太子の業績も創作である」との研究成果が発表されています。

日本最古の正史「日本書記」に書かれた太子の内容が創作となると、いままでの歴史認識にいろいろ疑問・問題が出てくるかと思います。

日本書紀は、天武天皇の指示により舎人親王(天武天皇の子)が中心となって編纂されたものなので、身内の負の部分は削除する、なかったことにするなど内容に偏りが発生していることも指摘されています。

「日本書記によれば・・・」
「日本書記に記録されている」

というコメントも説得力がなくなってしまいますが、今後の調査、研究に期待したいところです。

それでは、法隆寺に向かってみましょう。

法隆寺に一番近い所で1日500円の駐車場。左手奥が法隆寺南大門です。

法隆寺に一番近い1日500円の駐車場。
左手奥に見えるのが法隆寺南大門です。

法隆寺 南大門(国宝)

南大門。

屋根の曲線がうつくしい大きな門ですね。
こちらが法隆寺の玄関・南大門(国宝)です。

南大門は、1435年に僧侶間の権力争いが激化して、火が門に移って焼け落ちてしまったと伝わります。現在の門は室町時代に再建されたものです。

南大門の左右にのびる「築地塀」は、粘土を棒で一層ずつ何層にもして固めた「版築」と呼ばれる大変時間も労力もかかる工法で作られています。

築地塀の外側に行くにつれ緩やかに低くなっているのも美しいですね。この塀は、廃仏毀釈の時期に取り壊されてしまいそうになりましたが、無事残ったとのこと。良かったですね。。。

法隆寺・西院伽藍にある中門には、木の温もりが感じられる創建当時の柱と明治期の修繕の際に造られた柱があります。職人さんには、台ガンナとヤリガンナで仕上げた木の温もりの違いがわかるそうです。。。

確認してみたかったのですが、中門が修繕中(訪問時)で見学することができませんでした。。。

南大門の左右端の木を比べてみました。 (上写真参照)
南大門の柱もそれぞれ異なる時代に設置された柱のように見えますが、台ガンナかヤリガンナで仕上げたのかどうかは分からないです。。。

次回は中門の台ガンナとヤリガンナで仕上げた柱とこの南大門の橋を比較してみようと思います。

法隆寺 1300年前の五重塔(国宝)

青空と緑に包まれた法隆寺・五重塔(国宝)。

五重塔を支える邪鬼。隣の角には象。仏教では象は富と繁栄をもたらす神様です。

五重塔の屋根を支える邪鬼。
その他にも象や獅子の姿を観ることができます。
仏教では象は富と繁栄をもたらす神様、獅子は仏様を守る意味があります。

世界最古の木造建築・五重塔

地震国・日本において1300年もの間、倒壊もせず、落雷や火災による被害もなかったことは奇跡ですね。マグニチュード7.0以上の地震を46回も経験し乗り越えてきたことにも驚かされます。

法隆寺は、地震が発生したときの建物の揺れを計算した造りになっていて、スカイツリーや台湾の台北101、ニューヨークのシティコープセンターにも、その工法が活かされています。

あれ? 五重塔の屋根を数えると・・・6枚ありませんか?

実は五重塔の一番下にある屋根のようなものは「裳階(もこし)」と言って建物を風雨から守るためと建物を美しくみせるための役割があります。

五重塔の裳階(もこし)は、奈良時代に入ってから付け足されたものだそうです。

五重塔の相輪は、重さが3トンもあります。塔は風に弱いため、重い相輪でバランスを取っています。

五重塔のてっぺんにある相輪は、重さ3トンにもなります。

3トンというと最近の軽自動車が1台800kg前後ありますので、約4台分の軽自動車が屋根の上に乗っかっている感じです。塔は風に弱いため、建物の心柱の先端に重い相輪をかぶせてバランスを取っているのです。

ちなみに建物を支えていると思われる中央にある心柱は、実は法隆寺自体の重さをまったく支えておらず、吊り下げられているだけというから驚きですね。

心柱は、バネの役割をしていて建造物の振動を吸収して心柱が揺れることで、建物自体の振動を抑制する働きを持っています。

法隆寺 金堂

一番上の五重塔の屋根は一番下の屋根の半分の長さ。すべて計算された美しさ。

法隆寺・五重塔と金堂。

屋根の間にある「龍」は、創建当時のものではないそうで、装飾に賛否あるようですね・・・。

金堂の屋根の間には「龍」の姿も。
龍は信仰する人々を守ると言われています。

法隆寺の大講堂

修学旅行の学生さんや観光客で賑わっていました。

大講堂は延長3年(925年)に焼失してしまいましたが、正歴元年(990年)に再建されました。大講堂内に安置されている薬師三尊像(国宝)は、再建時に造像されたものとなります。

国宝の薬師三尊像が安置されている大講堂。屋根の形が美しいです。

国宝の薬師三尊像が安置されている大講堂。
屋根の形が美しいですね。

法隆寺の回廊

エンタシスの柱で有名な回廊。下から90cm位の所が一番膨らんでいます。

エンタシスの柱で有名な回廊。
柱下から90cm位の所が一番膨らんでいます。 (下写真をご覧ください)

中門や回廊の柱は、古代ギリシャの神殿によくみられるエンタシスの柱として知られています。

ギリシャのエンタシスは柱の下部から上部に向けて細くなりますが、法隆寺の柱は床から90cm位の所が一番膨らんでいます。

これらはすべて職人さんの手によってひとつひとつ作られたというから驚きですね。

回廊の経蔵と鐘楼付近の束の形が違います。人型の形で両脇の柱にうまく荷重が伝わっているのが飛鳥時代。

回廊の経蔵と鐘楼付近の束の形が違っているので、見てみましょう。

上写真のように人型の形で両脇の柱にうまく荷重が伝わっているのが飛鳥時代のもの。

人型の又に柱が追加されたものが室町の造り。
1枚上の写真と比べてみると、飛鳥時代の技法と異なる形になっているのがわかります。

室町の柱の支え方の方が屋根の重さが均等になるような気がしますが、宮大工・故 西岡氏によると飛鳥時代の工法の方が荷重がうまく伝わると述べています。

法隆寺の鬼と呼ばれた宮大工・西岡常一氏に関しては、こちらをご覧ください。

法隆寺 大宝蔵院

寺宝が多数展示されています。国宝でもある飛鳥時代の玉虫厨子は必見。見ごたえある展示物が多く楽しい。

法隆寺・大宝蔵院

1998年に完成した建物で寺宝が多数展示されている法隆寺の大宝蔵院。国宝でもある飛鳥時代の玉虫厨子は必見です。

大宝蔵院は、見ごたえある展示物が多く楽しいですよ。

これとは別に「大宝蔵殿」という建物もあり、大宝蔵院が完成するまでは、大宝蔵殿にて寺宝が公開されていました。現在は、大宝蔵院に展示しきれない寺宝を春と秋の観光シーズンに公開されています。

大宝蔵院前から見る五重塔。

大宝蔵院前から見る五重塔。

法隆寺 東院伽藍(夢殿)

途中お昼休憩をして、東院伽藍(夢殿)に向かいます。

途中お昼休憩をして、東院伽藍(夢殿)に向かいました。

法隆寺の境内は広いので、いろいろと回る時間を考慮し2~3時間は確保しておくと良いかもしれません。

聖徳太子の菩提を弔うために建造されたといわれている国宝の夢殿。

聖徳太子の菩提を弔うために建造されたといわれている国宝の夢殿(ゆめどの)。

夢殿には、飛鳥時代の作で楠(クスノキ)の一木造りの救世観音像(くせかんのんぞう)が安置されています。

絶対秘仏であった夢殿・救世観音像は、誰もその姿を見たことがありませんでした。明治維新以降、政府が文化財調査を行った際、法隆寺の宝物調査も行いましたが、絶対秘仏である夢殿・救世観音像の扉を開けることはありませんでした。

政府調査から数年後、アーネスト・フェノロサとフェノロサの弟子でもあった岡倉天心が政府の後ろ盾を得て、明治13年より、京都、奈良にある古寺の調査が始まりました。

そしてついに明治17年(1884年)、法隆寺の絶対秘仏である夢殿・救世観音像を開扉(かいひ)する時がきたのです。

法隆寺の寺僧でさえ見たことのない絶対秘仏。
寺僧は厨子を開けることに最後まで抵抗しますが、政府の官命による調査の盾に折れ、岡倉天心とフェノロサは厨子の錠前をこじ開けます。

両手で扉を静かに開くと、そこには布でグルグル巻きにされた個体が現れました。

巻かれていた木綿の布の長さは約457メートル。埃やカビの混ざった臭いが漂う中、天心とフェノロサは巻かれた木綿の布を丁寧に取り外していきました。

長年、厨子の中で眠っていた太子の等身像と伝わる金色の救世観音像が姿を現すと、二人は感動のあまり言葉を失ったと言います。

日本の美術史上最高傑作とも言われる救世観音像。
春と秋の特別な期間だけ公開されていますので、興味のある方はぜひお訪ねください♪

さてそろそろ帰りましょう。また訪れてみたいと思います。
東院鐘楼。白い板塀から下を袴腰と言います。鐘を鳴らすとゆらゆらするので、袴腰で支えています。

東院鐘楼

鐘楼を囲む建物は鎌倉時代、中の梵鐘は「中宮寺」と陰刻された奈良時代のものとなります。

鐘楼の白い板塀から下を袴腰(はかまごし)と言うそうですが、鐘を鳴らすとゆらゆらするので、袴腰で支えているとのこと。

門の左右に格子がありますので、ぜひひとつひとつの造りを見てみてください!

東院鐘楼奥の建物に入ると門の左右に格子があるのですが、ひとつひとつ造りを見ていくと場所によって木材の姿形が異なっていることに気づかされます。(下写真参照)

左上写真は比較的新しい時代のもの。右上が創建当時の格子です。

どちらも特徴があり美しいのですが、創建時の造形も味わいがあっていいですね。

長い間、大量生産と大量消費で育まれてきた価値観も変化の時が訪れているように感じます。モノづくりの世界(たとえば車業界)では、職人でないと作れないと言われた部品技術も、最近ではそこまで極めたモノは必要ないという判断がなされています。

ただ時間をかけた合理的でない”無駄”とも言える一級の手法、技術を持つ人たちが安心して生活していけるような ” ゆとりある社会 ” が構築されるといいですね。

機械で大量に作れるもの、人の手が加わった温かみのある作品どちらも世の中にあるといいなぁと思います。

法隆寺近辺に出店しているお店がいくつかありました。

法隆寺近辺にて出店しているお店がありました。

学校の帰りですかね。
子ども2人が並べられた商品を興味深く眺めている姿が印象的でした。

趣きのある道が続きます。

趣きのある道が続きます。

法隆寺東門の近くにオープンしたばかりの「まほろばステーション」。お土産屋やカフェがありました。

法隆寺東門の近くにお土産やカフェが併設された「まほろばステーション」があります。

ランチも美味しいですよ♪

実際に見て触れることで、当時の宮大工のこだわりや美しさ、木の温かさ感じることができる空間は、非常に心地よいものです。

ぜひお立ち寄りください!

【訪問地】法隆寺  奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1
【拝観時間】午前8時~午後5時(2/22~11/3)
      午前8時~午後4時半(11/4~2/21)
【拝観料】一般1,500円 小学生750円
【駐車場】
【アクセス】車ナビに「法隆寺」とご入力ください
電車の場合
・JR法隆寺駅より徒歩20分。バス「法隆寺参道」行き 法隆寺参道下車

・JR王子駅よりバス「国道横田・シャープ前・法隆寺前」行き 法隆寺前下車
・近鉄筒井駅より バス「JR王寺駅」行き 法隆寺前下車

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